白鬚神社
歴史散歩マイスター
2021/11/24
墨田区にある白髭神社は,951(天暦5)年に,近江国滋賀郡(現在の滋賀県高島市)の白鬚神社を分霊して祀ったのがはじまりと伝えられています。 滋賀県高島市の白鬚神社は,全国の白鬚神社・白髭神社の総本宮とされていますが,琵琶湖西岸のこの地域一帯は,渡来系氏族や渡来人が多く居住していたところでした。 かつての武蔵国にあたる現在の東京都・埼玉県・神奈川県の一部には,50社を超える白鬚神社が分布していて,東京では墨田区・江戸川区・葛飾区に集中しています。武蔵国には,ここに移住してきた朝鮮半島からの渡来人集団によって開拓された地域が多くありました。 『続日本紀』は,716(霊亀2)年に東国7ヶ国から集めた高句麗(高麗)からの渡来人1799人を武蔵国に移し,はじめて高麗郡(現在の埼玉県日高市・鶴ヶ島市など)を建てたという記事を載せています。 日高市にある高麗神社は,このような高句麗系の渡来人集団を率い,武蔵国の高麗氏の始祖として崇められたという高麗王若光(こまのこにきしじゃくこう)を主祭神とする神社で「高麗白髭明神」とも称されていました。 白鬚神社と渡来人との深い関わりが推測されます。
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