日本水準原点標庫
店舗情報
歴史散歩マイスター
2021/12/14
日本水準原点は,日本全国の標高の基準として1891(明治24)年に,当時,陸軍参謀本部陸地測量部の庭園だった現在地に設けられました。同年に完成した標庫はこれを保護するための建物で,佐立七次郎が設計しました。 佐立は,辰野金吾や曾禰達蔵らと共にジョサイア・コンドルから建築を学んだ工部大学校の第一期生です。工部省や海軍省,藤田組を経て逓信省で勤務し,建築法研究のため欧米にも出張しています。その後,建築設計事務所を開設,日本郵船の設計顧問となって日本郵船小樽支店(現存しています)などを設計しました。佐立が設計に関与した建物は34棟といわれますが,それらはほとんど残っていません。 現存する日本水準原点標庫は,石造りの平家建てで総高4.3mと小さなものですが,正面に配された石段と柱廊,その上部のエンタープラチュア(帯状部)や屋根部分のレリーフが施された三角形の破風など,ローマ風の神殿建築に倣った本格的な建築物です。エンタープラチュアには,現在,公的に使用されている建物には珍しい菊の紋章に挟まれた「大日本帝國」の文字が認められます。
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