歴史散歩マイスター
2021/12/14
2010(平成22)年に竣工した三菱一号館美術館は,1968(昭和43)年に解体された「三菱一号館」の原設計に基づいて忠実に復元されたものです。 三菱一号館は,ジョサイア・コンドルによって設計され,1894(明治27)年に日本最初のオフィスビルとして竣工しました。政府から丸の内一帯の払い下げを受けた三菱は,そこにロンドンの金融街のようなオフィス街を建設する計画をたてました。三菱財閥の3代目・岩崎久彌がその第一号として建てたのが三菱一号館です。 総赤煉瓦造り,地上3階・地下1階からなる一号館は,尖塔式屋根が連なる凹凸の多い構成や白い窓枠など,19世紀後半のイギリスで流行したクイーン・アン様式を用いて建設されました。またコンドルは,地震の多い日本の状況を考慮し,地中に埋めた9000本以上の松杭で建物を支えるといった耐震構造を採り入れています。この構造もあって,一号館は関東大震災にも耐えることができました。 三菱一号館を皮切りに丸の内地区には赤煉瓦造りのオフィスビルが続々と建設され,ロンドンの街並みに例えられて「一丁倫敦(いっちょうろんどん)」と呼ばれるようになります。この街並みもコンドルが設計しました。
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