旧岩崎家住宅洋館と撞球室
店舗情報
歴史散歩マイスター
2021/12/14
旧岩崎邸庭園には3棟の建物が残されています。そのうち洋館と撞球室(ビリヤード室)はイギリス人建築家ジョサイア・コンドルが設計したものです。 工部大学校の教授として来日したコンドルは,官を辞した後に設計事務所を開き,三菱財閥の設計顧問も兼ねて岩崎家関係の建物を多く手掛けました。この洋館は,三菱の3代目当主・岩崎久彌の本邸として建設され1896(明治29)年に竣工しました。 地下室のある木造2階建の建物や館内の装飾は,17 世紀初頭のイギリスで発展した直線的で重厚感のあるジャコビアン様式が基調とされていますが,イスラム風のモチーフなど複数の様式が随所にとり入れられていて折衷を得意としたコンドルらしさが窺われます。列柱が特徴的なベランダは,高温多湿の日本の気候を熟知していたコンドルが,直射日光を遮るのに必須として多くの邸宅建築に採用した代表的な例です。別棟として建てられた撞球室は,洋館と地下通路でつながっていますが,洋館より少しあとに完成したとされています。木造平屋の建物は,刻みの入った柱や軒を深く差し出した屋根など,当時としては珍しいスイスの山小屋風の造りになっています。
0
0